東日本大震災アーカイブ

汚染稲わらを焼却実験 環境省、年度内に鮫川で

 東京電力福島第一原発事故で放射性物質に汚染され、福島県内で大量に保管されている稲わら、牧草などの農林業系副産物の処分に向け、環境省は鮫川村で焼却実証実験を行う方針を固めた。県内初となる専用の焼却炉を今年度中に設け、平成26年度までに村内で発生する汚染副産物600トンを燃やす。安全で効率的な処理手法を確立させ、他の市町村にも焼却炉の設置を働き掛ける。
 原発事故で汚染された農林業系副産物の多くは現在、農家の敷地内に一時保管されている。県農林水産部によると、県内の汚染副産物の量は推計で十数万トンに上り、営農に支障が生じているケースもある。これまでに汚染副産物を焼却した事例は少なく、安全性が実証されていないため、処理が進まないのが実情だ。
 環境省は今年度、各市町村に実証実験を打診。鮫川村が受け入れた。実験により、焼却で減容可能な量、灰に含まれる放射性セシウム濃度を抑える手法、作業の安全確保対策などを検証する。
 村内に設ける焼却炉は1日5トン程度を処理できる小型炉で、放射性物質を外部に放出しないフィルターを付ける。今年度中に実験を始め、稲わら、牧草の他、牛ふん堆肥、堆肥原料落ち葉など計600トンの焼却を見込む。平成26年9月までに完了させる。1600平方メートル程度の用地を確保し焼却灰は最終処理方法が決まるまで用地内などに保管する方針。
 環境省が業者に委託して実施する。焼却炉の設置費用を含めた今年度の事業費は4億6200万円。25年度は1億8000万円、26年度は9300万円を見込んでいる。同省は「汚染副産物の早急な処理が必要。実験で安全性を確認する」としている。

カテゴリー:福島第一原発事故